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ISO14001
[EMS]環境マネジメント

ISO14001

ISO14001は企業や組織が環境保全に取り組むために作られた国際規格です。
この規格では、企業や組織の自主的な環境保全のための活動を求めています。つまり、企業や組織の自己管理責任が要求されています。この自己管理責任という考え方は、企業や組織の活動に対する社会的な要求として環境以外の分野、例えば品質管理におけるISO9001、食品衛生におけるHACCP、労働安全衛生に関係するOHSAS18001にも見られます。このような傾向は今後ますます明確になってくると思われます。

環境問題

環境がなぜ企業や組織の自己管理責任の対象としてクローズアップされてきたのでしょうか?

●日本経済新聞の記事から、世界の研究者に「人類の生存のために、21世紀の科学が解決すべき最も大きな課題は何でしょうか?」とアンケートしたところ、

(1)環境問題(地球温暖化、環境汚染、砂漠化、環境ホルモン、ごみ問題)
(2)人口増加、食糧問題
(3)エネルギー問題(資源の枯渇、エネルギー源の確保)
があげられました。
今、最も人類の生存に対して脅威となっているのは「環境」問題だといわれています。  

●環境問題は、人口増大による人間活動の拡大、歯止めのない生産・消費活動の拡大、生態系の劣化、人類の生活条件の劣化と言えます。

人口問題=2050年では現在の52%増93億人になると言われている。
エネルギー問題=世界のエネルギー使用は1900年から2000年に20倍になった。

●環境問題の現象

(1) 公害時代(昭和40年代~50年代)
典型7公害の発生(大気汚染、水質汚染、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭)、これらはおおむね地域的な現象として捉えられ、法規制、対症療法で改善されて来た。
(2) 地球規模の環境問題(1980年代以降)
人間の諸活動により、今まで無限と思われていた自然の浄化力がついに限界を超え、自然環境の破壊や気候変動など以下のような地球規模の環境問題が発生してきている。
これらは地域的な対症療法では解決しない。法規制も限界がある。
地球規模の環境問題:地球温暖化、オゾン層破壊、酸性雨、熱帯林の減少、砂漠化、有害廃棄物の越境移動、海洋汚染、生物多様性の減少、途上国の公害問題、等

ISO14001が生まれた背景

1992年の「環境と開発に関するリオ宣言」をきっかけに、「持続可能な開発のための」国際規格策定の議論がなされた。
これを受けて、1996年にISO14001を始めとする環境に関するISO14000シリーズが制定された。現在、ISO14001はISO9001規格との相関を考慮した2004年版となっている。
ISO14001とは、企業や組織が環境保全に取り組むためにISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)が定めた「環境マネジメントシステム-要求事項及び利用の手引き」のことです。

今なぜISO14001の認証取得

●競合他社の動き

2006年9月現在約25000件の認証取得例があり、近年急激に増えています。
導入理由:環境保全活動に役立つ、取っていないと企業イメージに悪影響、取っていないと取引が不利(入札)、系列からの要求、コストダウンなど。

●消費者(社会)の動き

環境意識の高まり、グリーン購入の動き、環境及び人間に悪影響を及ぼす企業活動に敏感になっている。
地方自治体の認証取得例が増えている。また官公庁の入札の際に評価項目となっている。

ISO14001の内容

●ISO14001とは

(1) 国際標準化機構ISOが定めた要求事項(しなければならないこと)からなる企業・組織の環境保全活動のための世界標準的な管理システム。
(2) 環境の基準値を定めたものではなく、企業・組織の自主管理を支援するシステムであり、管理対象は「企業・組織が管理できるもの及び影響を及ぼすことができる範囲の活動や製品」である。
また、経済性や技術的な条件も十分考慮して対処すればよいとされています。

●この規格(ISO14001)の目的は

(1) 企業・組織が自己責任原則に立ち、地球環境の保全に積極的に取り組んでいることを証明する。
(2) 企業・組織活動や製品による環境への負荷(資源、エネルギーの消費、廃棄・排出物等による負荷など)を継続的に低減する仕組み、環境保全に役立つ活動を継続的に増進する仕組みを提供する。
(3) 取引先、消費者、地域社会、公的機関などが企業の環境保全への取組みを評価する場合の基準となる。

●この規格の対象となる企業、組織は

ほとんど全ての企業、団体が対象。
製造、建設、サービス、農林水産、研究開発、病院、地方公共団体など。

●この規格の認定はどのようにして行われるのか

国際標準化機構(ISO) - 日本では相互認証している(財)日本適合性認定協会(JAB)より認定を受けた機関が、企業のこの規格の構築、運用状況を審査し合格すれば認証を与える。
認証取得後も継続して維持審査、更新審査があります。

●この規格の内容は(実際にすることは)

要求事項(しなければならないこと)をもれなく行うことにより、下記の要件を含む環境管理システムが確立するようになっている。

(1) 順守すべき法規制、環境に対して大きな影響を与える企業の諸活動、周辺住民その他関連する人々からの要請などから環境対策として取り上げるべき項目をリストアップする。
(2) 経営トップは環境保全に対する責任を明確にして、上記項目を考慮した方針、目的・目標を定めなければならない。
(3) 目標を達成するための方法を定め、運用状況を記録して対外的な証拠とする。
(4) 法規制を満たすための運用手順を整備する。順守状況を監視する。
(5) 運用状況(法規制の順守を含め)を自ら定期的にチェックする。
(6) 継続的に目的・目標、環境管理システムを見直す。

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